映画のような Way of life

    気ままな雑記ブログ。

【映画のための読書】1週間でマスター 小説のメソッド 初級編 その3:文章を直してみよう

『小説のメソッド 初級編 その3』になります。
 

“第四日 文章を直してみよう” 

 

 

この記事は本の内容に触れます。

また、記事中の意見等はブログ管理者の個人的なものです。

ご了承ください。

 

 

前回の記事はこちら。

 

第四日 文章を直してみよう

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第三日では、「他人の目」で推敲・リライトする事について述べられましたが、
第四日では、以下のような設問を使った推敲・リライトの方法が語られます。
〔設問〕
Q1、(例文1)を読み、良いと思われる箇所・悪い箇所に、印をつけなさい。
Q2、その後で(例文2)を読み、1と異なっている点を指摘しなさい。(いくつでも、かまいません。)
(後略)
 この後、本書では(例文1)と(例文2)を読み、解答・解説へと進んで、
理解していく事になります。
 
この中で、特に今回注目したのは、
『3、“なあなあ”とリアル』です。

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(前略)
それは、書き手が甘えているからです。「これくらい書いておけば、分かるだろう・伝わるだろう」と、“なあなあ”になってしまっているからです。
これ、小説や脚本に限らず、文章を書こうとしている人は一読しておくと良いかもしれません。
むしろ、文章に限らず、現実の対面コミュニケーションにも言えるかもしれませんね。
 
これを理解したうえで、わざと濁して読み手に想像させられる文章が書ければ、面白い小説が書けるかもしれません。
 
また、『リアル』についての記述も、作品の世界観に読者を誘い込むのに重要なファクターなので、気になる人は読んでみてください。

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次の『4、読み手は馬鹿?』に関しては、

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(前略)
読み手は馬鹿なんです!(失礼。もちろんアナタと私も、その中に含まれています。)
書き手の頭にあるイメージは、文字という「情報」にならなければ、読み手へ伝わりません。
と、言い方は乱暴なですが、これも言い得て妙で、
そのくらいに思って表現をしていった方が、結果的に読み手が理解できるし自分も迷わないんじゃないですかね。
「自分も読み手も馬鹿だから……」くらいに思って書いた方が自分も何が言いたいのか、確認しながら書く事になると思うので。
この方法、馬鹿にできないんじゃないでしょうか。
 
 
そして、
『6、リライト・推敲の「総まとめ」』
から
『7、もっとレッスンを重ねたい「熱心な」アナタへ』
と続き、第四日は締めくくられていき、
 
『7、もっとレッスンを重ねたい「熱心な」アナタへ』では、
学校・職場・地域で、同じ目的を持つ仲間を集め、サークルを作ってください。そして、書いた文章を交換し、互いに添削をし合ってみてください。
という提案が著者からあります。
 
これ、やってる人からすれば当たり前だけど、
まだ書き始めた人なんかは抵抗がある方も多いんじゃないですかね。
でもこれ、書き始めたばかりの人ほど早いうちにやった方がいいと思いますよ。
これをやる環境に身を置くとモチベーションを上げざるおえませんから。

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僕も小説ではありませんが、自分のシナリオを仲間の前で読んで感想や意見なんかを聞くって事を何度もやりますが、これで色々分かる事があります。
その時に同時に推敲・リライトする箇所とかも気づいたりしますしね……
 
やった事がない人は是非やってみてほしいです。
 
少し、効果は下がるかもしれないのと、
個人間だと著作権などでトラブルになる可能性があるのでオススメはしませんが、
対策を考えれば、対面ではなくネットワーク上でも応用は利くかと思います。
 
 
では、また後日へと続きます。
次は、『第五日 プロットを作ってみよう』です。
 

 

 

【ミニッツライナー】日にち薬(ネタバレあり)

この記事にはネタバレがあります。

 

今回は、10月1日の『あしたのSHOW』で放送された

『日にち薬』でミニッツライナーしてみたいと思います。

 

 

監督は、永田琴監督。

WOWOWぷらすと』をチェックしている僕としては、

東野圭吾原作のWOWOWのドラマの監督で、

岩井俊二監督に師事していた人というイメージ。

 

 

中谷美紀性同一性障害を演じる。東野圭吾『片想い』初映像化!

 

 

WOWOWぷらすと』にも何度かゲストで登場しています。


 

岩井俊二の回でも、松崎健夫 (松崎B)さんに、

ほんのちょっとだけ(ホントにちょっとだけですが)触れられていますね。


 

では、

『日にち薬』

ミニッツライナー!

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日にち薬

監督・脚本:永田琴
 

奈津:谷村美月

辻幸太朗:布施紀行

仁科:水沢奈子

 

 

  1. 奈津、縁側に寝転がり外をぼんやり眺めて回想する。タイトル『日にち薬』。
  2. 奈津、好きなサッカー部の男子、辻幸太朗の写真を画像処理ソフトで引き伸ばして拡大。プリントアウトしてブロマイドを作る。
  3. 奈津、弓道部の活動後の放課後、廊下ですれ違った幸太朗の話かけられた事から、彼の行動をこっそりと窺うようになる。
  4. 奈津、部活の後に廊下で幸太朗を待ち伏せてすれ違う事を日課にする。
  5. 奈津、いつも外れてばかりの弓道の的に矢を当てた事で、幸太朗に告白する決意をする。
  6. 奈津、誰もいない幸太朗の教室で黒板に『好きです。』と書いて自分を鼓舞しようとするが、そこへチアリーディングの女子、仁科がやってきたため、慌てて教壇の机の下に隠れる。
  7. 幸太朗が教室にやってくる。奈津、幸太朗が黒板の『好きです。』を見て「俺も」と仁科に言った事に動揺。そそくさと教室を出て行こうとする奈津だったが、その背中に幸太朗の「(誰だか)知らない」の言葉が突き刺さる。
  8. 奈津、校舎の傍で泣きじゃくる。
  9. 奈津、縁側に寝転がり外をぼんやり眺めている。場面変わり、鍵の付いた『他人に言えない事を書く』ノートがめくられていくが、そこには『好きです。』の一文だけが毎ページに書かれ、最後のページだけ『好きでした。』と書かれている。
  10. 奈津、縁側で小さな花をみつて微笑む。「失恋の心の傷も(中略)月日を重ねるといつしか自然に治ります。それを『日にち薬』と言います」

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大人になりかかっている女の子が凄く表現されてるなぁという感じのする可愛い話でした。

 

場面(場所)を展開させながら、10分くらいで心の成長や変化を表現するには、

こういうふうに1エピソードを掘り下げてかたちにするんだな、と参考になります。

 

 

ラスト間際の

「好きです。」

「好きです。」

「好きです。」

「好きです。」

「好きです。」

「好きでした」

 

いい観せ方ですね。

 

 

では、

『日にち薬』

ミニッツライナー

でした。

【映画のための読書】1週間でマスター 小説のメソッド 初級編 その2:小説とは何だろう? PARTⅡ・文章を書いてみよう

第二日 小説とは何だろう? PARTⅡ

第三日 文章を書いてみよう

 

 

この記事は本の内容に触れます。

また、記事中の意見等はブログ管理者の個人的なものです。

ご了承ください。

 

 

前回の記事はこちら。

第二日 小説とは何だろう? PARTⅡ

第二日は、文体・レトリック・小道具の話になります。

文体・レトリック、これこそが小説が小説たらんとする部分ではないでしょうか?

これによって、その小説や小説家のカラーが出るところなのではないかと思います。
なので、脚本のト書きには直接関係ない部分という事でここで取り上げる事は割愛させていただきます。 
ですが、書いてある事は置き換えて考えれば、セリフなどの部分で脚本に役立つところがあるんじゃないかとは思いますので、気になる方は本著を読んでみてください。
 
 

第三日 文章を書いてみよう

第三日は、実際に書いてみます。

ここでは、著者から“お題”が出されます。

そして、“添削”と銘打ち、書いたものを著者の例文などと照らし合わせて確認していくのですが、ここはやはり本では限界がありますね。

ページ数を使って説明されているのですが、添削というには無理があるように思えて、読書中、これを自作でやる場合の応用方法を考えるのに思考が奪われてしまい、ここを読み進めるのが僕はちょっとキツかったですね。

この後、書く時は主観で書き、読む時は客観的に読む事が説明されます。

また、推敲・リライトのコツでは、時間を空けて読み返したり、声に出して読むようにしたりなど、初心者以外は、だいたい分かっているような事だったりしますが、何度か書いた事がある人だと逆に馴れてしまっていて、読み返す時につい忘れてやっていなかったりするので、自分の推敲の方法を初心に返って見直すのに参考になるかもしれません。

そして、読み手に伝わる文章とはどう表現すべきかが、例文をもとにして解説されていきます。

 

第三日は、ちゃんと読んで理解できれば大分表現力がつく気がします。
僕は読むのキツかったー。
まぁ、実際、推敲・リライトって苦行に感じる時ありますからね。
なので、その方法を学ぶのも苦行っぽいのは理にかなっているのかもしれません。
 
 
もしかして、そう思うの僕だけなのかな? あなたは好きですか? どうです?
 

 そして、また後日へと続きます。

 

 

【ミニッツライナー】背比べのあと(ネタバレあり)

この記事にはネタバレがあります。

 

9月4日の記事で紹介した『せびろやしき』同様、『あしたのSHOW』で17日に取り上げられていた、『背比べのあと』をミニッツライナーしてみたいと思います。

 

 

監督は、柴田啓佑さん。

この作品、僕は以前にYouTubeで短編映画を集めてた時にみつけて既に観ていました。

この日の番組では、同監督のもう一本『窓の外側』という作品も放映されていました。

こちらの作品も同じように以前にYouTubeで観ていたのですが、同じ監督作とは気づいていませんでした。

ただ、分かってから観ると、両方とも作品のトーンやリズムや主人公の変化の温度感など通じるところがあって、それがこの監督のカラーになっている感じがします。

 

では、

『背比べのあと』

ミニッツライナーで解体!

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背比べのあと

監督:柴田啓佑
脚本:柴田啓佑
 

清水健介:吉岡睦雄

清水明子:村井美樹

清水ちひろ:小林柚葉

清水健太:榎本楓

 

 

  1. 健介、会社の昼休みに屋上で調理パンを食べる。愛妻弁当を食べる後輩に会社帰りに呑みに行かないかと誘うが、家族サービスがあるのでと断られる。タイトル『背比べのあと』
  2. 健介、自宅マンションに帰る。ちひろと健太が姉弟喧嘩している。健介、疲れた様子でソファに座る。新しくマンションに越してきたばかりで家族みんなが夢や希望にあふれていた頃を思い出す。
  3. 健介、喧嘩ばかりのちひろと健太を怒鳴り、ふてくされて投げやりな片付けをして、柱に傷をつけた健太の腕を掴み更に怒鳴る。明子、その様子を不安げに見つめる。
  4. 明子、環境の変化に戸惑う子供達を庇いつつ、健介をなだめようとするが、健介は否定されているように捉えてしまう。
  5. 明子、かかってきた電話に出る。相手は健介の母。場面代わり、健介、全員喪服姿の家族達と実家にいる。親戚の子が柱の背比べの傷を見つける。
  6. 健介、柱についた自分の背比べのあとを見つめる。そして、自宅マンションへの帰り道、家族たちの後ろ姿を見つめ何か思う。
  7. 健介、自宅マンションに帰ると、柱に健太とちひろの背比べのあとをつける。
  8. 健介、会社の昼休みに屋上で愛妻弁当を食べている。コンビニ袋をさげてやってくる後輩に会社帰りに呑みに行かないかと誘われるが、家族サービスだなと冗談めかす。
  9. エンドロール。健介、道を歩いている妊娠中の若い夫婦を微笑ましく眺める。清水家のみんなで健太の誕生日を祝っている。
  10. 健太とちひろの傷が刻まれた柱。その上の方には健介。そして、更にその上には、再び健太の傷がある。

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では、

『背比べのあと』

ミニッツライナー、終わり。

【ミニッツライナー】Mother(ネタバレあり)

この記事にはネタバレがあります。

※2018年9月17日に公開した記事ですが、記事中で紹介している作品のDVD情報を追加して2018年10月7日に更新しました。

※2018年10月27日現在、YouTubeの『ニクいねぇ!シアター』チャンネルから本作のムービーが削除されているため、リンクを解除して更新しました。

 

このショートムービーはYouTubeで観られる三菱電機の『ニクいねぇ!シアター』第一弾の作品です。

 

 因みに、LONGver.です。それでも7分弱ですけど……

 

 

『Mother』といえば、坂元裕二脚本、松雪泰子主演のTVドラマがありましたね。

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主演は、上白石萌音

上白石さんといえば、妹の上白石萌歌が出演している『義母と娘のブルースが明日、最終回ですね(この記事は2018年9月17日のものです)。

のDVD&ブルーレイが発売決定してますね(この記事は2018年10月7日のものです)。


こちらのTVドラマについては、ドラマ化以前に僕は原作を読んでいました。

なぜかというと、脚本制作の参考として、特に起承転結(こちらの記事でほんのちょっと紹介しています)やプロットポイント(このあたりの詳細はまた別の機会に記事にしたいと思います)を考える時に役立つかなと思って、4コマ漫画を探していてみつけました。

で、この原作なんですが、基本的に4コマで話は一応完結するんですが、全体の流れとしてはそれを1つのエピソードにして連作にしているんです。僕が4コマ漫画をあまり読んだ事がなかった事もあり、4コマ漫画界ではフツーなのかもしれませんが、こういう4コマ漫画もあるのね、と思った記憶があります。

 

余談ですが、この上白石姉妹、笑った顔がいいなぁと思います。付け加えると、困った顔としかめっ面が似合います(いい意味で)。

 

 

で、『Mother』。

監督は、尾形竜太。

映像ディレクターで、映画監督はやっていないようですが、映画やドラマの編集や演出をやったり、タイトルバックをやっていて、舞台やドキュメンタリーにも関わって、多岐にわたって活動しているようです。

同じ、上白石萌音主演で、周防正行監督の『舞妓はレディ』では、演出補とミュージカルパート編集をやって、メイキング番組の監督もやっていますね。

 

脚本は、遠山絵梨香。

オリガミクスパートナーズというクリエイター専門のプロダクションに所属しているようです。脚本家としての作品はそれほど多くなく、目立って活動をしているわけではなさそうです。

このプロダクションには、『いぬやしき』『ブリーチ』と今年立て続けで2本が劇場公開されている、佐藤信介監督も所属しているみたいです。

 

これ、脚本が綺麗ですね。

何がって、7分弱の中でテーマがちゃんと表現されていると思うんです。

あと、オープニングで最初「こうだろう」と思っていた事が、最後で「あー、そうだったのね」というオチ的な事があるんですが……

これが、

「こうだろう」と勝手に思って観ているうちに、流れてる空気感で、ちょっと違うのかなって気もするんだけど。

いつの間にか、「こうだろう」と勝手に前提として観続けてたら。

最後に、「あー、そうだったのね」となり、なんか優しいカタルシスを感じる……みたいな感じなんですよ。

この説明じゃ、意味分かりませんね。

なので、実際に観てみましょう。 

 

 

では、

『Mother』

ミニッツライナーで解体!

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Mother

監督:尾形竜太
脚本:遠山絵梨香
 

小山茜:上白石萌音

小山夕子:霧島れいか

小山洋介:松田賢二

小山翔太:髙橋 來

 

  1. 茜、壁の家事当番表の何も割り当てられていない “ママ”の欄を見つめると、冷蔵庫に向き合う。「今日から私がママだから」。タイトル『Mother』。
  2. 茜、夕食を作るが、翔太に作るの遅いと文句を言われ、自分も夕子に同じように文句をつけていた事を思い出す。
  3. 茜、上手に料理ができず、翔太が食べてくれないのを見て、再び自分も夕子に心ない態度をとった過去に苦い思いをする。
  4. 茜、夕子に言っていなかった感謝の言葉に気づくと共に、かつての自分と同じようにほうれん草を食べられない翔太に、自分が食べられようになった夕子が作ってくれたほうれん草のケーキを思い出す。
  5. 茜、夕子のレシピノートからほうれん草のケーキを探し、翔太の為に作る。
  6. 茜、ほうれん草が食べられるようになった翔太と共に赤ん坊を連れて帰ってきた夕子を迎える。
  7. 茜、今まで言っていなかった、様々な母への感謝の言葉を夕子に伝える。

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ソッコウでしたね。短い。

でも、この作品観て、映画とか物語の濃さって単純に尺じゃ計れないなと思っちゃいましたね。

 

だんだん自分が年齢を重ねたせいで、こういった「親と子が、近い関係性が故に普段気づきもしないし見ようともしなかった事を、突然、ある非日常によって気づかされ、新しい関係性を築き始める」みたいな王道的な話に脆くなってる部分もありますけどね、自分の親との事を考えちゃったりして……。

でも、この尺でそこまで感情移入させられたのは事実です。

あと、企業PR的なところもあるので、「クリーンすぎるだろ」という意見もあるかもしれませんが、逆に言えば「綺麗に納めてる」とも言えなくないと思うので、少なくとも短編の脚本を学ぼうとする人には、結構参考にして損のない作品なんじゃないかな、と思います。ちなみに僕は、三菱電機とは全く関係ありません。

 

 

では、

『Mother』

ミニッツライナー、終わり。

 

 

松雪泰子主演。まだ子役だった芦田愛菜出世作『Mother』が観れる。

 

上白石萌音主演の映画。監督は周防正行

妹、上白石萌歌さん出演のTVドラマの原作。

【映画のための読書】1週間でマスター 小説のメソッド 初級編 その1: 小説とは何だろう? PARTⅠ

映画といえば普通はシナリオなのですが、

シナリオについてはまた別の機会に紹介するとして

今回は、小説の書き方の本を紹介していこうかと思います。

 

 

この記事は本の内容に触れます。

また、記事中の意見等はブログ管理者の個人的なものです。

ご了承ください。

 

 

 
大抵の人が、物語を目にする機会って、映画・テレビドラマ(配信ドラマ含む)・アニメ・小説・漫画・舞台(古典芸能含む)がだいたい代表的なところかと思います。
その中でも活字で読むものってなると小説です。
脚本も文字で表現されていますが、厳密には映像になり人目に触れた時点で、初めて「表現された」となるものなので、まず映画関係者以外の人は脚本を読む機会なんてそうないでしょうし、そもそも読もうとも思わないかと思います。
実際、脚本って読み慣れていないと話が頭に入って来ないでしょうし。
 
 
で、本題なんですが。
 
物語を描くという事を理解するうえで、見慣れない特殊な記述をする脚本の事はまず置いておいて、映画と同様にその単体で物語表現を成立させられる小説について学ぼうという事で本書をとり上げました。
 
 
まず、この本は「1週間で~」というタイトルどおり、第一日、第二日、第三日・・・というように7日分の見出しに分かれています。
 
では、見ていきましょう。
 
 

第一日 小説とは何だろう? PARTⅠ

ここは最初だけあり、精神論的な事から始まって、テーマや構成についてが書かれています。
 
テーマについては、このように書かれています。
・最も関心があること。
・最も大切だと思っていること。
・最も重大な問題だと感じていること。
 
これこそが、優れたテーマであり、かつ良い題材なのです。
 
そして、この3点には「切実さ」があり、この「切実さ」ほど、小説を含むあらゆる表現活動で大切なものはないと著者は言っています。
 
また、著者は、作家・中村真一郎氏が随筆の中に残した言葉を引用し、良い文章をホメるには、
・身に詰まされる。
・我を忘れる。
 
の二つの言葉で充分だと言い、そして、この二つの言葉は「切実さ」を異なる言葉で述べているだけだと言います。
 
そして、これらを以下のように整理します。
・身に詰まされる→シリアス・ノベル、現実的→書き手の切実さが、読み手に伝わる→そうそう、わかるわかる(同意・共感)
・我を忘れる→エンタテイメント、娯楽性が強い→読み手の切実さに、書き手が応えてくれる→へぇ~(驚き)
 
この後、本著では恋愛小説を例にテーマについてを深堀りしています。
 

 

小説って何なんだ?

小説とは「愛と憎しみの間を行ったり来たり、心の動きと体の動きの間を行ったり来たり、自己と他者、個人と社会の間を行ったり来たりするもの」なのではないか。
この事については、この後、家を建てる事を例にして明確になるように説明されています。 
 
 
続いては、構成の話になります。
 
ここでは、シンデレラ曲線で構成の説明がされます。

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昔むかし、ある所にシンデレラという娘がいました。母や姉は舞踏会へ出かけるのに、炊事・洗濯・掃除ばかりさせられています〔A〕。

 魔法使いのお婆さんが現れました。カボチャを馬車に、ネズミを白馬に変えてくれました。シンデレラは舞踏会へ向かいます〔B〕。

そこで王子様と会い、一緒にダンスを踊りました〔C〕。

けれど、十二時になると魔法が解けてしまうので、帰らねばなりません。シンデレラはガラスの靴を忘れてきてしまいました〔D〕。

王子様はガラスの靴を手に、国中を探しました。足がピッタリ合うのは、シンデレラだけでした。二人は結ばれ、末永く幸せに暮らしました。めでたし、めでたし———。

こうして、「構成」を目に見える形で取り出し、多くの物語がこのようなパターンで作られ、基本形になってると説明しています。

そして、これは「起承転結」にそのまま置き換えられるとも言います。

そのとうりですね。

 

本著では、このシンデレラ曲線以外にもいくつか曲線が紹介されていますが、基本的には、多少アレンジはしたとしても、シンデレラ曲線を意識して作った方が、個人的には人を楽しませる(心を動かせる)話が作りやすいのではないかと思います。

 

とはいえ、

 

「うるせぇ! 自分は型なんかにとらわれず、自分のオリジナリティで行くぜーっ!」という方もいるかと思います。

そんな方のためにも著者は言っています。

それでも、誤解しないでほしいのは、(中略)物語の「型」に合わせろと言っているのではありません。(中略)型を知っているのと、知らないのとでは大違いです。型を知った上で、さらに物語をその型からズラす作業を勧めたいのです。

そして、

その「ズラし方」こそが、書き手としてのアナタのクセであり、特色であり———作家の個性なのです。

歌舞伎俳優の中村勘九郎さんは、そのインタビューで述べています。「芝居の型を知らなければ、“型破り”もできない」と。

 

こうして、第一日が終わっていき、PART2として第二日へ続きます。

 

 

そして、この記事も今回はここまでで、後日へと続きます。

 

 

 

【ミニッツライナー】カリカゾク(ネタバレあり)

この記事にはネタバレがあります。

  ※2018年9月14日に公開した記事ですが、各作品のDVD情報を追加して2018年9月15日に再度公開しました。

 

この映画は、『死神ターニャ』というDVDに収録されている短編映画で20分くらいの作品なんですが、短い話を上手く構成しているなぁと思って、何回も鑑賞している作品。

 

まずは予告編……

 

 

こちらは『死神ターニャ』

 

 

監督は、塩出太志監督。

2017年に、『時時巡りエブリデイ』と『ユキの異常な体質/または僕はどれほどお金がほしいか』の2本が、鳥居みゆき主演で公開されてます。

 

『時時巡りエブリデイ』と……

 

『ユキの異常な体質/または僕はどれほどお金がほしいか』

 

カリカゾク』の特徴は、役者陣が揃いも揃って、まんま漫画のキャラクターになりそうな個性を発揮しているところ。

そして、ラスト間際の主人公のセリフに対する父のセリフが何気に深く、正に的を得たようなタイトル。

 

では、

カリカゾク』

ミニッツライナーで解体!

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カリカゾク

監督/脚本:塩出太志
 

広子:仁後亜由美

父:岡本 裕輝

母:五十嵐 さゆり

同級生:下川辺 寿美

担任教師:萩原 正道

 

  1. 広子、駅前で父と同級生が仲良さげにしているところを目撃する。
  2. 広子、夜、遊びに出かける母親を見送る。父も会社に泊まりらしい。
  3. 広子、家に一人きり。夜中まで勉強に励む。
  4. 広子、明け方キッチンで寝ている母のバッグから、学校に忘れたはずの生徒手帳を見つける。
  5. 広子、学校のトイレで同級生からポケットティッシュをもらう。
  6. 広子、教室で同級生に遠回しに父との関係を探ろうとする。
  7. 広子、同級生の援助交際の相手が自分の父である事を告白する。
  8. 広子、同級生にとある計画の協力を依頼する。
  9. 広子、父から「お父さんのように立派な大人になるんだ」と言われイラつく。
  10. 広子、母から「お父さんの事嫌いでしょ」と聞かれ「それはお母さんでしょ」と反論する。
  11. 広子、母、担任教師と三者面談。机の下で足を絡ませイチャつく母と担任教師。広子の携帯に同級生から連絡がある。
  12. 広子、土手を走る。ホテルに父と一緒にいる同級生から携帯に「早く来てよ」と連絡がある。
  13. 同級生、ホテルで父に迫られる。そこへ、うさぎの着ぐるみを着た広子がやってくる。
  14. うさぎの着ぐるみを着た広子、父をハンガーラックで殴り倒す。続いて学校の教室で担任教師から衣服を奪う。
  15. 父、頭に包帯を巻いて帰ってくる。
  16. 広子、うさぎの着ぐるみで父と母の前に姿を見せる。うさぎの着ぐるみに唖然とする父、何も知らずに爆笑する母。
  17. 広子、着ぐるみを脱ぐ。下に担任教師の衣服を着ていて、母も唖然。
  18. 広子、「家族なんだから、ちゃんとしようよ」と言うが、父は「家族が大事に決まってる」「広子も大人になったら分かる」と言ってのける。
  19. 広子、鼻血を出して倒れる。
  20. エンドロール

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いやー、ちょうど20分くらいで上手いことまとめていますね。

何気にポケットティッシュやうさぎの着ぐるみなんかの小道具が伏線的に使われてて、特に自主映画を撮りたいとか撮り始めたって人なんかの参考になるんじゃないでしょうか。 

 

では、

カリカゾク』
ミニッツライナー、終わり。 

 

 

 こちら、DVD情報です。

カリカゾク』収録

『時時巡りエブリデイ』は10/3発売!