【シナリオ書き起こし】Mother(ネタバレあり)
今回は、これまでミニッツライナーで
1分ごとに人物が何をしたかを書き出した映画の
シナリオ書き起こしをしてみたいと思います。
選んだのは、『Mother』
ミニッツライナーの時の記事はこちらです。
この記事にはネタバレがあります。
記載したシナリオは独自に書き起こしたもので公式のものではありません。
実際のシナリオとは表現等相違があることが前提となる事をご了承ください。
7分くらいで短めなのと、
話もちょっとしたフェイクがあって面白かったのでこちらを選びました。
では、さっそく
『Mother』
シナリオに書き起こしてみましょう!
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Mother
小山茜:上白石萌音
小山夕子:霧島れいか
小山洋介:松田賢二
小山翔太:髙橋 來
○茜の家・LDK(夕)
冷蔵庫の前に立つ茜。
ふと冷蔵庫の傍を見る茜。
家族の1週間の家事分担が書かれた小さな黒板がある。
黒板には『ママ・パパ・茜・翔太』とあり、『ママ』以外には『掃除』や『ゴミ出し』などが分担されているが、『ママ』の分担だけが何もない。
冷蔵庫のドアに手をあてる茜。
茜「今日から私がママだから……よろしく」
○タイトル『mother』
シンクに置かれたボールに水滴が落ちる。
○茜の家・LDK(夕)
赤いエプロンをした茜。冷蔵庫を開けて目を見開く。
冷蔵庫の中には、タッパーに分けられた料理が綺麗に並べられている。
小さく微笑む茜。
キッチンで『レシピノート』を見ながら、自信なさげに顔をしかめる茜。
○同・外観(夜)
犬の鳴き声。
父と翔太の声「ただいまー」
○同・LDK(夜)
ダイニングテーブルでミンチ肉を手でこねている茜。
茜「おかえり」
入ってくる父と翔太。
茜「ごめん、夕飯まだできてない」
父「おー、じゃあ、パパがお風呂掃除と洗濯してくるよ。洗うもん出してあるか?」
茜「あー、ごめん。あの、そこ、そこに……」
茜、肘で奥のリビングにあるソファの上にひろげた衣類の山を指し示す。
父「あー」
ソファに向かう父。
翔太「お腹すいたー」
茜、うんざりした表情をするも、あせるようにミンチ肉をこねる。
父「おい、翔太、わがまま言うんじゃない」
翔太「だって、お姉ちゃん作るの遅いんだもん」
茜「あー、もう、うるっさいなぁ」
ふと、何か思い出すように遠い目をする茜。
母の声「待ってて、もうちょっとでできるから」
茜、ゆっくりガステーブルを振り返る。
○(回想)同
ガステーブルで料理をしている母。
学生服の茜が入ってくるなり、冷蔵庫を開ける。
茜「お腹すいたぁ」
母「はいはい」
ダイニングセットに座り、プリンを食べる茜。
母「そんなの食べたら、ご飯食べられなくなるわよ」
うんざりした表情の茜。
茜「ママが作るの遅いからでしょー」
○(回想戻り)同(夜)
ふと、何かを感じたように視線を下げて泳がせる茜。
× × ×
焦げたハンバーグを食べる父。
翔太は食べようとしない。
父が茜を励ますように言う。
父「うん、うん。うまいよ。うまいうまい」
少し苦笑いの茜。
翔太「おいしくなさそうだからいらない」
席を立ち、出て行く翔太。
茜「えー」
父「おい、翔太」
茜を気にしながら立ち上がり、翔太を追う父。
父「おい翔太。お姉ちゃんが作ったんだよ」
○(回想)同(深夜)
リビングのテーブルで勉強をしている茜におにぎりを乗せた皿を差し出す母。
母「お腹すいたでしょ?」
おにぎりを一瞥して、ノートに視線を戻す茜。
茜「太っちゃうからいらない」
寂しげな表情の茜。
○(回想戻り)同(夜)
思い出して反省するように顔しかめる茜。唇を軽く噛みしめる。
○茜の家・外観(朝)
鳥のさえずり。
○同・LDK(朝)
弁当を詰めながら欠伸をする茜。
ネクタイをしめる父。翔太に服を着せる。
父「はい、ほら。急げ急げ」
× × ×
朝食のトーストを食べる茜、父、翔太の三人。
食べ終えた茜、慌てて立ち上がり、牛乳を一口飲んで出て行く。
茜「行ってきます」
○同(夕)
冷蔵庫からタッパーを出し、夕飯の用意を始める茜。
茜M「いただきます。ごちそうさま……」
父と翔太が入ってくる。
父と翔太「ただいまー」
茜「おかえり」
急いで用意を続ける茜。
茜M「おいしかった。ありがとう……」
弁当箱を茜に渡す翔太。
無言で去って行く翔太に呆気にとられる茜。
茜、弁当箱を開けると、中にほうれん草が手をつけられずに残っている。
弁当箱の中を見つめる茜。
茜M「私は、お母さんにたくさんの言葉を言い忘れていた」
茜の手にしている翔太の弁当箱を覗く父。
父「翔太、ほうれん草を食べなきゃだめだぞ」
叱るような目つきで翔太を見る茜。
翔太「意地悪だよぉ。僕がほうれん草嫌いなの知ってるのに」
茜「好き嫌いしてたらおっきくなれないよ」
翔太「お姉ちゃんだって嫌いな食べ物あるでしょ?」
翔太が言い終わる前に自信ありげな茜。
茜「ありませんから」
ふと、思い出したように目を見開く茜。
○(回想)同
冷蔵庫を開ける母。ダイニングテーブルにほうれん草のケーキを出す。
母「ケーキ食べよう」
子供の茜「うわー」
子供の茜、ケーキを一口食べて目を見開き母を見る。
子供の茜「おいしい」
母「このケーキね、茜ちゃんの嫌いなほうれん草のケーキなんだよ」
子供の茜「えー?」
母「食べられたね。エライエライ」
子供の茜の頭を撫でる母。
レシピノートをテーブルの上に置く母。
○(回想戻り)同・夜
はっとして、棚を探る茜。
表紙に『お菓子・デザート』と書かれた『レシピノート』を手にとって開く茜。
× × ×
髪の毛を縛り、赤いエプロンを着ける茜。
冷蔵庫からほうれん草を取り出す茜。
ノートを見ながら、ほうれん草を調理していく茜。
ふと、ページの最後にある、ふきだしの文字に目を留める茜。
ふきだしには『茜ちゃんがほうれん草食べられるようになりました! 良かったね!』とある。
文字をじっと見つめる茜。
○(日替わり)同(朝)
冷蔵庫からほうれん草のケーキを取り出す茜。
ダイニングセットには翔太が座っている。
翔太「え、何? 何なの?」
茜、ほうれん草のケーキを翔太の前に差し出す。
茜「はい、どうぞ」
翔太「うわ、ケーキだ! いただきまーす」
早速、嬉しそうに食べる翔太。
茜「どうぞ」
翔太「うん、おいしい!」
小さくガッツポーズをする茜。
茜「それね、ほうれん草のケーキなんだよ」
翔太「えー?」
茜「でも、食べられたじゃん」
翔太「僕、ほうれん草食べられた」
茜「うん、えらいえらい」
笑顔で嬉しそうに翔太の頭を撫でる茜。
○同・階段
茜と翔太、何かを待ちわびるように階段の途中に並んで座っている。
茜の膝の上には畳んだ赤いエプロン。
玄関のドアが開く音。
はっとして、嬉しそうに翔太を見る茜。
茜「来た」
茜と翔太、嬉しそうに急いで階段を降りる。
○同・玄関
赤ん坊を抱いた母と一緒に父が外から入ってくる。
玄関に駆け寄る翔太。続いて茜。
父と母「ただいまー」
翔太「ママ、おかえりー」
赤ん坊を見る翔太と茜。
翔太「うわー、ちっちゃい」
茜「かわいー」
母から赤ん坊を受け取る父。
父「翔太、今日からお兄ちゃんだぞー」
翔太「もう僕ほうれん草食べられるから……」
茜の方を振り向く翔太。
茜も翔太を見る。
翔太「もう、お兄ちゃんだもんねー」
茜「そうだねー」
笑う茜。
母「うわ、翔太、ほうれん草食べれるの? すごいね」
父「じゃあ、ほら、お兄ちゃんとあがろうか?」
父、赤ん坊を大事そうに抱えて、家にあがり、翔太と共に家の奥に進んで行く。
父と翔太を優しく見送る母。ふと、茜の視線に気づく。
母を見つめる茜。
茜「おかえり。いただきます。ごちそうさま。おいしかった。ありがとう」
母「え?」
茜「今までママに言ってなかったぶん」
畳んだ赤いエプロンを母に差し出す茜。
嬉しそうな表情の母。
照れてはにかんだ表情の茜。
茜「私もエプロンほしいなぁ……なんちって」
満面な笑みの茜。
〈了〉
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今回、シナリオを書き起こすのに映像を何回か見直したんですが、
その度思うのが…
ミンチ肉をこねる茜(上白石萌音)が怖い……
最初の方、
ハンバーグらしきものを作ろうとミンチ肉をこねてるところで、
弟の翔太に「お姉ちゃん作るの遅いんだもん」
と軽くディスられるのですが、
それに対する
「あー、もう、うるっさいなぁ」
という茜の言い方が、何気に怖いです。
作品内では描かれていませんが、
弟はこの時、恐怖を感じていたことでしょう。
僕も姉がいるのでよく分かります。
まぁ、茜も、
弟の
身勝手な言い分と、
上手に肉をこねられない苛立ちに
ついつい、きつくあたってしまったんでしょうねぇ。
期待されてプレッシャーがかかっているでしょうから……
僕も弟がいるのでよく分かります。
しかし、更に、その後の回想でも、
茜は、「お腹すいた~」と言いながら冷蔵庫を開けて、
プリンを食べようとするのですが
既に食事の準備をしている、
霧島れいか演じる、美人ママの夕子から
「そんなの食べたら、ご飯食べられなくなるわよ」
と言わると
今回は、余程空腹に苛立っていたのでしょう
凄いうんざりした表情で
「ママが作るの遅いからでしょー」
とディスりつつ
プリンをペロリと喰らいます。
と、
こんなところに注目しつつ、
今回は、シナリオ書き起こしをしてみました。
では、
『Mother』
シナリオ書き起こし、終わり。